では、民事再生手続きを利用するのには、制限はあるのでしょうか。再建型の倒産手続きには「会社更生手続」や「会社整理手続き」もありますが、これらが株式会社しか利用できないのに対して、民事再生手続きでは何の資格も制限もありません。
株式会社はもちろん、有限会社、個人事業者、医療法人、学校法人など誰でも利用できる制度です。 一応中小企業を主な対象に考えられていますが、大企業でも利用できます。
また個人やサラリーマン対象の「小規模個人再生手続き」、「給与所得者等再生手続き」というものもあります。民事再生手続きは債権者(取引会社)の方から申立てを行なうこともできます。その場合も債権者の債権額の大小など、立場に制限はありません。
ただ株主からの申立てはできないことになっています(会社更生手続きは株主からの申し立てもできます)。 民事再生法の前身・和議法では破産がほぼ決定してからしか申立てはできませんでしたが、支払不能や債務超過が起りそうな、経営が怪しく破産するおそれがあるとなった段階で、民事再生手続き開始の申立てをすることができるようになりました。
なのでより再建がしやすくなったのですが、実際には経営破たんする前に申立てをするところはあまりありません。
民事再生手続きにも費用はかかります。 まず裁判所に手数料1万円が必要ですし、その他に予納金も支払わなければいけません。
予納金とは申立ての時に裁判所に予め納めておくお金で、監督委員の報酬、通信費、官報広告費などに使われます。 負債総額や資本金の額によって変わってきますし、全体的な事情によっても金額は変わってきますが、目安は、
- 負債総額が5000万円未満で200万円
- 同じく5000万〜1億円未満で300万円
- 同じく1億〜5億円未満で400万円
- 同じく5億〜10億円未満で500万円
です。予納金を納められない場合、申立ては棄却されます。
債務者の状況によっては分割払いをすることもできますが、手続き開始が決定する時までには全額支払わなければいけません。
他にも弁護士や会計士への報酬が要ります。額は予納金と同額から1.5割増が普通のようです。また当座の運転資金も必要でしょう。
申立て後には金融機関からの借入れはできなくなりますし、それまでに借入れがあった金融機関では口座が凍結して預金も引き出せなくなります。そのため、民事再生手続きをしようと思った時点で、必要費用や運転資金は現金を用意するか、借入れがない金融機関に移しておかなければなりません。
民事再生は会社などの再建のためにある措置です。民事再生を受けるには、再生手続きで信用が低下しても営業黒字が確保できること、当座の運転資金、経営者のやる気が必要です。
これらがなければ債権者は協力してくれないでしょうし、裁判所も申立てを却下することでしょう。 また民事再生手続きで債務の一部分カットを受けると免除益として高率の税金を払わなければいけなくなります。
民事再生手続きの申立てを行なうのに制限はありませんが、後になって取下げるのには制限があります。
民事再生手続きをいきなりの破産を逃れるための一時的な措置にしたり、保全処分によって債権者の取立てから逃げたりするためだけに利用されることを防ぐためです。 実際、この制限がなかった和議法では保全処分目当ての申立て濫用が見られました。
民事再生手続きでは再生手続きの開始が決定される前にしか取下げをすることができません。またどうしてもの理由で保全処分を受けた後に取下げなければいけなくなった場合、裁判所の許可が必要になります。
取下げが許可されるのは、他の手段での事業再生が可能になったとか、再建をあきらめて破産手続きをすることになったとかの場合です。 最初から一時しのぎが目的で、再建の努力をしないような場合には不当申し立てとされ、申立てが棄却された上、破産宣告をされてしまう可能性もあります。