インターネットに絡んだ著作権法のおもな判例|著作権ビジネスについて


インターネットによるトラブルのおもな事例

・東京地裁平成14年4月15日判決
「ホテル・ジャンキーズ・クラブ」事件第一審判決

ホームページに設置された掲示板に投稿された文章を転載して、書籍「世界極上ホテル術」(著者 村瀬千文とホテル・ジャンキーズ・クラブ、発行 株式会社光文社)を出版した行為について、掲示板上で、ハンドル名でなされた11名の表現について著作権を認め、書籍出版の差し止めと、書籍を発行した光文社、サイト管理者、村瀬千文氏に、11名のそれぞれに対し、弁護士費用を含む約5万円から14万円の損害賠償の支払いを命じた。

ホームページ上の表現の著作物性がはじめて認められた事例となった。
・東京地裁平成16年3月11日判決
「2ちゃんねる ファンブック無断転載削除請求」事件


【概要】

原告は、本件漫画を著作した漫画家と、本件漫画を出版している出版社である。原告らは、本件で問題となっている「ファンブック 罪に濡れたふたり〜Kasumi」内の対談記事について著作権を共有している。

被告は、インターネット上の巨大電子掲示板「2ちゃんねる」を開設・運営する者である。    

被告運営の「2ちゃんねる」に原告に著作権のある対談記事が掲載された。その後、原告から被告へ電子メールにて著作権侵害である旨を警告し、記事の削除を要請した。これに対し被告は、「削除依頼板へおねがいします。」とのみ電子メールで送信した。

「2ちゃんねる」掲示板には「削除ガイドライン」という被告が作成したルールがある。

【争点とそれに対する裁判所の判断】

1)本件の対談記事の転載は、著作権法32条の引用にあたるのか。

引用には、あたらない。本件対談記事を転記したのは、本件発言者らが創作活動をする上で本件対談記事を引用して利用しなければならなかったからではなく、閲覧させること自体を目的とするものであったと解さざるを得ない。として被告の引用の主張を排斥した。

2)原告は、被告に対して、本件発言の自動公衆送信または、送信可能化の差し止めを請求することができるか。

被告に対する差止請求は認めらない。差止請求を求める相手方について、著作権法112条1項により、現に侵害行為を行う主体となっているか、あるいは侵害行為を主体として行うおそれのあるものに限られる、と規定されている。本件の侵害行為を行っている主体は本件発言者であって、被告は侵害行為を行う主体に該当しないことは明らかである、とした。よって、被告に対する差止請求はできない、と結論している。

3)被告は、本件記事の削除を行わなかったことにより、原告に対し、損害賠償責任を負うか。

被告は損害賠償義務を負わない。被告のような電子掲示板開設者などは、基本的には他人の送信した情報について媒介する程度で情報の伝達に関与するにすぎない。したがって、電子掲示板開設者自身が該当情報の送信主体となっているような例外を除いて、送信化または自動公衆送信の防止のために必要な措置を構ずべき作為義務を負うものではない、とした。

また、原告から被告へ送った電子メールの要請内容は、真正な著作権者からの申告かどうかも明らかではなく、具体的にどの部分が著作権侵害かを特定して申告するものではなかった。自由な表現活動を保証する観点から、他人の表現行為について第三者が介入することには慎重さが求められるべきであることも考慮するならば、送信可能化または自動公衆送信防止のために必要な措置を構ずべき特段の事情があったとは認められない、とした。
・東京地裁平成16年3月24日判決
「ライントピックス記事見出し」事件


【概要】

原告は、株式会社読売新聞東京本社。原告は「YOL」というWEBサイトを開設、ヤフー株式会社と「YOL」の主要なニュースを有償で使用許諾するなどの内容で契約を締結している。ヤフーのWEBサイト「Yahoo! ニュース」では、「YOL」見出しと同じ記事が掲載されている。

被告は、WEBサイト「ライントピックス」を開設する会社。被告のサイトにおいて、ヤフーWEBサイトのニュース記事にリンクを貼っている。その表示の仕方は、被告サイトとは別のウィンドウを開いて、ヤフーサイトに飛ぶようになっている。


【争点とそれに対する裁判所の判断】

原告の記事見出し(YOLの見出し)に著作物性はあるのか著作権法による保護の対象となる著作物は、「思想または感情を創作的に表現したもの」であることが必要である、として、「YOL」見出しはいずれも客観的な事実を記述したものであるか、これにごく短い装飾語などを付加したに過ぎないものであって、創作的表現とは認められない。と判断した。

また、「YOL」見出しは、原告自身がインターネット上で無償で公開した情報であり、著作権法などにより原告に排他的な権利が認められない以上、第三者がこれらを利用することは本来自由であるといえる。とした。


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